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「いいだろう! 私の名はシルヴィア! シルヴィア・ライオン・ハーティドだ!」
沙羅の指名に意気揚々と応えるシルヴィア。
「それなら、俺はあいつらが逃げないように見張るか」
首をひとつ回し、一塊になって震える盗賊たちに鋭い牙を見せて脅すように笑むと、セルは岩の上に腰掛ける。
「よろしく頼む。ところで、貴殿の名は?」
「俺は、セルだ。まずは、お前らのお手並み拝見といこうか」
シルヴィアが首を傾げて問うたのに応えると、セルは縦長の瞳孔を期待に光らせた。
セルの言葉を合図に、沙羅とシルヴィアが対峙する。
「……さて、愉しもうか」
沙羅が宣言と共に薙刀を低く構え、シルヴィアに突っ込む。
横っ飛びにシルヴィアが避けた瞬間、薙刀が跳ね上がりながら回転し、シルヴィアを薙ぐ。
咄嗟に腕を交差させ防いだものの、薙刀はすぐに引かれ、続け様に鋭い突きがシルヴィアを襲う。
間合いを詰めようにも距離を取ろうにも、自在に動く沙羅の薙刀は、時に払い、時に突きと、シルヴィアを防戦一方へと追い込んで行く。
が、シルヴィアの双眸が鋭い光を放つ。
沙羅が薙刀を引いたその一瞬。
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