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その強い意志を感じさせる桜色の眼差しに、セルの隻眼が研ぎ澄まされたナイフのように細くなる。
「責任、なぁ? お前、名前は? ああ、先に名乗らねぇと失礼だよな。俺は、セルだ」
「黎扇明と申します」
少しずつ膨れ上がるセルの闘気に一歩も引かず、扇明が名乗りを上げる。
その扇明の横に、庇われたままを良しとせず、兎型セリアンが並び、勝ち気な表情を浮かべてセルを見上げた。
「私は、ウサコです。責任なら私にあります」
「生憎、俺は見ての通りパソー1枚だからな。お召し物とやらの弁償はいらねぇよ。代わりに、扇明、ウサコ、責任を持って俺と勝負しろよ」
セルが不敵に笑ってそう告げると、扇明とウサコが唇をきゅっと結び、頷く。
「承知致しました。それで貴方の気が済むなら」
「はい、分かりました」
ふたりの返事にセルが機嫌良さそうに口元を緩ませた。
「お前も、責任取って勝負に加われよ」
セルの意識が扇明とウサコに集中している隙をつき、そろそろと逃げようとしていたガゼル型セリアンの襟首をセルががしっと掴む。
「ひぃっ!! アアア、アタシもですか!?」
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