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「そうだ。まぁ、お前は、見たところ俺と同じ国だからな。勝負するのは、俺とじゃなくて、あのふたりとだ。2対2、男女同士、丁度いいだろ? お前、名前は?」
いかにも凶悪そうなセルと戦わなくて済むと知り、ほっとしたガゼル型セリアンがセルの問いに素直に答える。
「ティティっす! ティティ=アイローサっす!」
優しそうな扇明とウサコなら、きっと手加減してくれる、ときらきらした視線をふたりに送るティティ。
「ティティ、期待してるぜ?」
「は、はいぃぃぃ!」
セルの片眸に宿った強い光に、ティティが直立不動で首だけ縦に高速に振った。
にやりと楽しそうに笑うセル。
「よし、じゃぁ、戦るか!」
宣言と共にセルの闘気が爆発する。
途端、扇明とウサコがバックステップでセルから距離を取った。
が、すかさずセルが間を詰める。
死角から扇明を襲うセルの尾。
扇明がかろうじて右手の鞘で尾を受け止める。
そして、左手で刀を抜き打ち様に、セルに斬りつけた。
躱すセル。
しかし、セルの胸元に薄く一文字の朱が滲んだ。
「ちっ、思ったより速ぇな」
「鍛えていますから」
舌打ちしたセルに、扇明が優雅に笑む。
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