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「……」
虚ろな瞳が僕を捉えて、薄い唇が僅(わず)かに動く。ひか、る。いつも僕の名前を呼ぶように見えるのは、気のせいじゃないと思う。僕がそう思いたいだけかもしれないけど、でも、確かにそんな風に見えることにほんの僅か、胸の内に小さな熱が灯るのを感じる。
そして、僕と真浦の交流は終わる。
たったこれだけ。これだけのために、僕は他の生き物から命を抜き取っている。死体を持ち帰っては家の庭に埋める。だって真浦の命を繋ぎとめることが、僕の生きる意味なのだから。そのためなら、どんなことだってするって約束したから。
僕は真浦の隣に腰を掛けて、膝を抱いた。いっそ僕の御霊虫を全部渡したら、もう少し喋ってくれるだろうか。そんな切望が淡く、泡沫の如く浮かんでは消える。いつかそれを試して死ぬのも悪くはないと思っているけど、何となく踏ん切りがつかないでいる。
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