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俺は――になったらしい。
きっと良くなるだの頑張れだのうざいんだよ。
「裕也くん…ごめんね。」
病室に母親の声が響いた。
「うぜぇよ。なら変わってくれよ!
どうせ俺、死ぬんだろ?
もういいじゃねぇか!それで」
「そんな事ないわよ…。薬飲んで治療を続ければ良くなるってお医者様も―」
「そういうのがうざいんだよ!
…出てけよ。出て行けよ!!」
母親は苦しそうに微笑みながらまた明日来るわねと言いながら病室をあとにした。
今日は暑いな。
そう呟いた裕也は窓の外を眺めた。
この窓から見えるのは下の木々とベンチ、車椅子に乗った老人や松葉杖を使いながら歩く人
それが今の高井裕也の世界だった。
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