第一

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「急いで! 追い付かれちゃうわ!」 暗く静かなもりに、二人分の走る音だけが響く 「、、、も、ハァ、、、無料 ハァハァ」 どうやら二人のうち幼い少女が限界のようだ 二人を追いかけるのは、魔獣と言われる存在 「あっ!」 少女が樹の根につまづいて転んでしまった 「立って! 頑張って!」 「お、お母さん! お母さんだけでも逃げて!」 「何言ってるの! 二人で逃げるのよ!」 母親だけでも逃がそうとする少女に魔獣が、鋭利(えいり)な爪を降り下ろす 「キャアァーーーー!」 その瞬間魔獣と少女の間に水色ローブが割り込んだ 水晶の割れるような音を響かせて魔獣の爪を刀で受け止めると、水色ローブは 「間に合ったな」 と一言だけ言って魔獣を仕留めた 「氷帝様っ! ありがとうございます」 母親は安心して娘を抱きしめた、少女も安心して母親を抱きしめ返した 「いや、気にするな村まで送る」 「重ね重ねすみません」 氷帝と呼ばれた水色ローブは母子の肩に触れると 「《転移》」 一瞬の間を置いてそこにはあの、母子も氷帝も居なかった
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