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祭りも大体が終わり、エフィスとハウェイは先に取っていた宿に戻っていた。
なにか良いことでもあったのか、ハウェイは上機嫌に調達した火酒を飲んでいる。
「ねぇ、まだ飲む気なの?」
「あ? たまにゃいいだろ? ここの酒は結構いけるのがそろってっから、今のウチに味わいたいのよ」
普段は野宿ばっかだしなぁ、と漏らしながら味わいながらその喉をうまそうに潤していっている。
「それで明日動けなくなってもらっても困るんだけどね」
「なぁに、これでも元は術士学校の門をくぐってた人間だ。対毒の心得はあんのよ」
確かに対毒の術を掛ければ血中のアルコールをなくすことは出来るだろう。しかし、あまりに使い方が乱暴な気がしてならない。
「ねぇ、あんたは占いとかって信じる?」
「いきなり何言い出すんだ? そんなもん、学校でも色々と教えてくれてたろ」
「私はそっち方面は全然だったのよ。それで、どうなの?」
「つってもなぁ。まぁ、本物ってのはいるんだろうけどよ。全部が全部あたってるわきゃねぇし、五分五分ってとこなんじゃねぇの?」
微妙な回答にエフィスは思わずため息をついた。
「なんだよ。なんかあったんか? 嫌にしおらしいじゃねぇか」
若干気味が悪いものを見たような顔をする。
それを気配で感じれた。実に失礼な奴だ。
しかし、あながち間違いでもない。
「ちょっと、変なこと言われてね」
「あん?」
いぶかしむハウェイに彼女は祭りでの出来事を話した。
「そりゃまた、変わった奴と会ったもんだ。ええと、闇が現れるねぇ」
ほんとかねぇ、と彼は呟き横に置いてある違うリキュール酒を流し込む。
「たったそれだけじゃ、さっぱりだわな」
「でしょ?」
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