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そんな緊急事態だからなのか、周りの見張りがいなくなっていた。
どう見ても逃げるチャンスでしかないこの状況、なのに誰も逃げようとはしない。
本当のロボットのように自分の意思を失っていた。
迷うまでもない、ここで死ぬまで理由も知らされずに働くのはごめんだ。
近くの出入り口まで全力で走っていった。
ラッキーなことに扉は開いていって、外の見張りもいなかった。
でも、出ようとしたまさにその時
ウィーンーウィーンーウィーンー
扉にセンサーがついていたようで、サイレンがけたたましく鳴り響く。
今更やめられない、そのままどこへともなく走り続ける。1年間かけて培った体力や筋力は伊達じゃない。
「おいこらー!待てぇー 逃げ切れるとは思うなよぉ!」
後ろから怒鳴り声がする。振り返る余裕はなかった。でも、聞き慣れた声だった。
あの強面の男だろう。
ぜったいに逃げ切ってやる。その一心で道裏を走り抜けて、開けた大通りに飛び出した。
「あっ」
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