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作業は慣れると何も感じなくなっていた。呼吸のように、無意識のうちに体が動いてくれる。
同じ労働者どうしの会話は皆無だった。まるで一つの大きな機械のの部品と部品のように、皆で掘り続けた。
新しい指示が出るまでひたすら掘り続ける。いつ終わるか分からない、どれほど掘ればいいのかも分からない。
そんな毎日を繰り返して、体感的には1年ほどが過ぎたとき、新しい指令が出た。
【帰還せよ】
短い機械音の放送が鳴り響いた。
エネルギー補給のための帰還なのか、それとも目的が達成されたのかは分からないが、全員でトランスポーターに乗り込んだ。
労働者たちには戻れる家や場所がない。待ってくれている人もいない。だからなのか、誰も安堵の表情などは浮かべていなかった。
初めての労働の人たちも、1年間も経てば、無表情なロボットのようになっていた。
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