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「追求せず黙っていたのは、俺の事を信じていたからでしょう?」
「半分だけ、信じてたかもです」
「でも、五分じゃ何も出来ませんから」
「それはっ」
「それとも五分の時間で満足できるように、いろいろ試してみますか?」
優雅に微笑みながら、姉ちゃの唇を塞ぐ。抗議するように両手をグーにして、兄ちゃの体をドンドン叩いた。
「痛いです、家庭内暴力ですか」
「だって、正仁さんが無理矢理」
「きちんと試してみますかって、聞きましたよ?」
「まだ応えてません!」
涙目で訴えるように言い放つ姉ちゃに、目を細めて余裕そうな顔した兄ちゃ。
「物欲しそうな顔してましたけど。それが応えでしょう」
「そんな顔、してません」
「まったく、自分の顔なんて見られないでしょう? いい加減、素直になって下さい」
「う~……」
「俺の中で好きとか嫌いの感情を越えて、君を愛してるんです。そうやって強情になってるトコさえ、愛しく思えます。だから嘘でも嫌いなんて、言って欲しく有りません」
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