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「じ、じゃあ私はそろそろこれ捨てに行くね」
佃煮とへぼ、二つの伝統料理(ただし材料として使っているのは、どちらも昆虫である)の入った瓶を手に、ミオソティスはユースティティアに言った。
栄養価は高いものの、その強烈な見た目から、部下から廃棄するよう依頼されたらしい。
「ねえ」
「な、何?」
「それ、二つとも、誰も食べないで捨てる?」
「そうやよ。まあ、こんなインパクトありすぎる料理やもんね。好き好んで食べる人なんて、そうそうおらんと思うんよ……」
「ふーん……」
せっかく彼女が作ったのに、見た目だけで判断して捨てる。
勿体ない。
それに、栄養の高い物も満足に食べられないこんな時代だ。
尚更ユースティティアはそう思ったのだろう。
「どうせ捨てるなら、問題ない、よね」
え、とミオソティスが聞き返そうと口を開きかけた時、ユースティティアはもう動いていた。
ミオソティスの持つ瓶の蓋を片手で開け、空いたもう一方の手で中にある廃棄予定の料理をつまみ、口に入れる。
流れるような動作だった。
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