第1章

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 また、依頼者自身の為の嘘と、俺自身の嘘。 (後者がどうして需要があるのか?何かの訓練なのか? そういう点は捨て置く。)  これらから四分割してみると 俺が傷つくような内容の嘘、依頼者を傷つける内容の嘘  そして、双方が傷つく設定の嘘、どちらも傷つかない嘘と 分けていく、ここまでで16種類ある。まぁ嘘だが。  だが、嘘とはつく側だけではなく、嘘をつかれる対象を 考慮する事は必要である、法に触れる事は禁止されている。  その嘘に対応するケースには、自分自身の嘘に騙される者 逆に自分自身の全ての思考を疑う者が、いるという話もあるらしい。  それらがどのような意味を持っていても、 利用価値にのみ左右される仕事なので、需要性においては あまり評価対象になりずらいだろう。  又、高いスキルの嘘術者によれば、 許せる嘘と、許せない嘘を自在に操る者もいるらしい。 これらの事については、商売に関係なく 哲学、心理学などを、巻き込んで随分と長い年月を経て 研究はされているらしいが、商売人としての年収は実は余り差がない。  偶に嘘師を芸人と呼ぶ人もいる。 先ほどのケースの中に、許されない嘘が含まれる事に由来するそうだ。 故に、嘘師は騙されたい顧客のニーズに応えるよう努力するわけだ。  つまり、嘘が下手な者がこの仕事に就くと言う事だ。 だから年収も乏しく、俺の値段は安いのだ。  だが、これを読んでいる君も、嘘が下手な類だろう? 今のは嘘だよ、気にするな。不愉快の底を探りあって 気が合わなくても、一杯呑みながら騙しあおうじゃないか。  え、お前誰なんだって?おいおい忘れたのかい? オレだよオレ、ふわふわな嘘つきの俺そのものじゃないか。 そうだよなぁ? ハハ。  だからさぁ、オマエ誰なんだよ?
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