第1章 はじまりの子《幼少編》

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「また説明かよ…あ~…めんどくせぇな…御子息様らしきガキを見付けた時にさ、そこのガキも一緒にいたんだよ。アンタの命令通り、御子息様を確定するまでは殺す訳にいかないから気絶させようとしたら…」 ボクのとなりにいる男の人が、カタナをもった男の人を見る。 「……チッ…!このガキ、鳩尾(みぞおち)殴っても気絶しなかったんだよ!更に殴って気絶させて、女のガキと同じ様に柱にくくりつけようとも思ったが…いつ目を覚ましやがるか分かんねぇから、連れて来るしかなかったんだよ!もう、これでいいだろ!」 やまとお兄ちゃんが《くさかべ》と言ってた人は、男の人2人のセツメイを聞いてわらってうなづいた。 「ああ、充分だ。ご苦労さん。折角連れてきたんだ。少し、大和君と話がしたいな。刀を降ろして、手を離してやれ」 「…………チッ…!」 メイレイどおり、やまとお兄ちゃんの首から手がはなされた。 「乱暴な事をしてすまなかったね。しかし、鳩尾を殴られても気絶しないとは…まだ7歳だというのに、将来が末恐ろしいよ。あの極悪非道の男・美空 隆臣(みそら たかおみ)が唯一心を許した存在…教育係・高木 冬真(たかぎ とうま)の子…君を生かしておいたら、いずれ君は我々の驚異になるだろう。君には、ここで死んでもらうよ」 そのことばを聞いて、やまとお兄ちゃんの近くにいた男の人がカタナをふり上げた。 やまとお兄ちゃん……ッ…! ーーーガタッ……ガタンッ…!! イスから立ったボクのカタを、となりにいた男の人がつかんでまたすわらせた。 「やだ…!はなして!」 「どこに行くつもり?君が行って、何が出来るの?やまとお兄ちゃんのお父さんだって、アイツに勝てなかったんだからさぁ。刀を持ってる大人相手に、丸腰のガキが勝てる訳がないじゃないか」 ボクじゃ…やまとお兄ちゃんを…たすけられない… 手におちた水に、自分がないてるって気づいた。 「………ッ…く………ぅ……」 「あ~あ…泣いちゃった。これだから、ガキって苦手なんだよなぁ…日下部さん、アンタ…高木とかいうガキの反応見る為に、わざとやってんだろ……あんまし、意味なかったみたいだけどな」 わざと…? イミなかった…? 「………むかつくんだよ!何なんだ、お前!もっとガキらしくビビれよ!泣けよ!おい、日下部の旦那!コイツ、何で刀向けてもこんな平然としてんだよ!?」
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