第1章 はじまりの子《幼少編》

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それにしても、一体だれがけいさつを? 「おい!くそガキ!てめぇが、通報しやがったんじゃねぇのか!?だから、そんな平然としてやがったんだな?」 前髪をつかまれて、上を向かされる。 首につめたい感しょくがして、刀をあてられた事に気づく。 「ま…まって…!やまとお兄ちゃんは、ずっとボクといっしょにいたの!それに、ボクのおへやにもまわりにもでんわないよ!」 そう…事件がおきた時、朔也様の部屋にいた私達には通ほうする事は出来ない。 出来る人間がいるとしたら… 《女のガキが1人いたけど動けないように柱にくくりつけて来たんだ》 この部屋に連れてこられる前、今…朔也様のとなりにいる男はそう言っていた。 楓(かえで)… 大人達が…殺されたとしたら、通ほう出来るのは楓しかいない。 どうやってくくりつけられた柱から逃げ出せたのかは分からないけど、楓も家令・水無月家の子… くくりつけられたまま、ジッとしているような教育は受けてない。 近づいていたパトカーのサイレンが、裏門の所で止まった。 大人数で来たのか、パトカーのランプの灯りがこの部屋からでも見える。 きっと正門の方にも来ていると思うけど、ここはハナレの1番奥の部屋。 裏門からの方が、近い。 朔也様のうしろにある大きな窓は、さっき日下部が入って来た時からずっと開いてる。 電気もついてる。 場所はすぐに分かるはずなのに、けいさつは入って来ない… 「はッ…!あはははッ…!腰抜けのサツ共!こっちに人質のガキがいるって知ってるから、迂闊には飛び込んで来れねぇでやんの!」 私の前髪をつかんでる手が、ふるえていた。 こわいのか…? 3人の中で1番えらそうなのは、こわさをかくすため…? 今までの会話から、この男が日下部の命令なしに動く事はない。 それは、朔也様の近くにいる男も同じ… ーーーガガッ……ピー……ガガガッ…! どこかから聞こえる機械の音に、全員の目がパトカーの方へ向いた。 {{犯人に告ぐ!この屋敷は、完全に包囲した!今すぐ人質を解放し、大人しく投降せよ!5分待つ!聞き入れられない場合は………こ、困りますよ!…そんな勝手に……あ…!}} ーーピー……ガガッ…! {{……日下部…貴様、こんな事をして無事で済むと思うなよ?己の用心棒を使って、仕出かした事だろうが…経営能力の無さを棚に上げて、逆恨みとはいい度胸だな。朔也、これが俺に逆らった者の末路だ。その目に焼き付けろ}}
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