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「……………………………」
「どうした?何故、黙っている。『出て来い』と言ったのは、お前ではないのか?」
お父さまのお顔は、いつもどおりだった。
でも…声は、いつもよりひくかった。
「ボケッとしてんじゃねぇよ!日下部の旦那!アンタ、こいつに絶望与えるんじゃねぇのかよ!」
「………俺達が…何の為に……ぅ…ッ…!…手を貸した…のか……おも…い……だ…せ…」
ーードサッ…!!
ボクのすぐとなりで、たおれる音がした。
それがなにか見ようとしたら…
「見てはいけません!」
やまとお兄ちゃんの手で、目かくしされた。
見えなくても、これがどういうことなのかはわかる…
「……しんじゃったの…?」
「………ッ…!………おそらく…」
わかってたのに、聞いてしまった…
ちがうって言ってほしかった…
「あ………ぁ……どうして……うあぁぁぁーーー!!」
「朔也様ッ…!!」
どうして、こんなカンタンに…人はだれかをころせるの…?
「うるさいッ!朔也ッ…!美空家の男子たる者、これしきの事で簡単に動揺してはならん!」
………これしきのこと…?
いったい、なん人しんじゃったと思っているの…?
「ご高説は立派だが、こちらの存在を無視しないでもらおうか。折角…お前に絶望を与える為に、こんなお膳立てまでしたんだ」
「……何が目的だ…?」
《くさかべ》のもくてき…
お父さまにゼツボウをあたえるために…
「お父さまの目の前で、ボクをころすこと…」
「フ…ハハハハハッ!かしこいねぇ朔也君。ご褒美に、一瞬で殺してあげるよッ…!恨むんなら、自分の父親を恨むんだな!」
ーーザワザワッ…!!
うしろの方で、いろんな人の声がした。
「直ちに日下部他1名を捕らえ、子供2人を保護しろッ!!」
「「「はッ…!」」」
やまとお兄ちゃんにイスから立たされて、うしろをむかされた。
「そのまま、ふり向かずに走って下さい!早くッ…!」
言われたとおりに、けいさつの人たちがいる方へはしった。
「無駄無駄ァ!死ねぇぇ……ッ…!?………ぐあぁ…!!」
けいさつの人たちもこっちにむかってきてたから、ボクたちはすぐにたすけられた。
《くさかべ》は、つかまったのかな…?
「朔也様…ご無事で何よりです……どうかされましたか?」
やまとお兄ちゃんのやさしい手が、かみをなでてくれた。
「やまとお兄ちゃんが、『ふりむかずに』って言ったもん…」
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