第1章 はじまりの子《幼少編》

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「……………………………」 「どうした?何故、黙っている。『出て来い』と言ったのは、お前ではないのか?」 お父さまのお顔は、いつもどおりだった。 でも…声は、いつもよりひくかった。 「ボケッとしてんじゃねぇよ!日下部の旦那!アンタ、こいつに絶望与えるんじゃねぇのかよ!」 「………俺達が…何の為に……ぅ…ッ…!…手を貸した…のか……おも…い……だ…せ…」 ーードサッ…!! ボクのすぐとなりで、たおれる音がした。 それがなにか見ようとしたら… 「見てはいけません!」 やまとお兄ちゃんの手で、目かくしされた。 見えなくても、これがどういうことなのかはわかる… 「……しんじゃったの…?」 「………ッ…!………おそらく…」 わかってたのに、聞いてしまった… ちがうって言ってほしかった… 「あ………ぁ……どうして……うあぁぁぁーーー!!」 「朔也様ッ…!!」 どうして、こんなカンタンに…人はだれかをころせるの…? 「うるさいッ!朔也ッ…!美空家の男子たる者、これしきの事で簡単に動揺してはならん!」 ………これしきのこと…? いったい、なん人しんじゃったと思っているの…? 「ご高説は立派だが、こちらの存在を無視しないでもらおうか。折角…お前に絶望を与える為に、こんなお膳立てまでしたんだ」 「……何が目的だ…?」 《くさかべ》のもくてき… お父さまにゼツボウをあたえるために… 「お父さまの目の前で、ボクをころすこと…」 「フ…ハハハハハッ!かしこいねぇ朔也君。ご褒美に、一瞬で殺してあげるよッ…!恨むんなら、自分の父親を恨むんだな!」 ーーザワザワッ…!! うしろの方で、いろんな人の声がした。 「直ちに日下部他1名を捕らえ、子供2人を保護しろッ!!」 「「「はッ…!」」」 やまとお兄ちゃんにイスから立たされて、うしろをむかされた。 「そのまま、ふり向かずに走って下さい!早くッ…!」 言われたとおりに、けいさつの人たちがいる方へはしった。 「無駄無駄ァ!死ねぇぇ……ッ…!?………ぐあぁ…!!」 けいさつの人たちもこっちにむかってきてたから、ボクたちはすぐにたすけられた。 《くさかべ》は、つかまったのかな…? 「朔也様…ご無事で何よりです……どうかされましたか?」 やまとお兄ちゃんのやさしい手が、かみをなでてくれた。 「やまとお兄ちゃんが、『ふりむかずに』って言ったもん…」
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