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【大和side】
ーーーーーー…………………
ここは、母屋の一室…
洋室になっている部屋の中心には、大きなベッドがおいてある。
「おきゃくさまのおへやって、なんにもないんだね…」
そう言いながら、朔也様は部屋の中を物めずらしそうに見て回っている。
「ちょっと、大和!入口につっ立ってたら、私が入れないじゃないの!」
楓が私をおしのけて、部屋の中に入って行く。
「……………う~ん…どっから見ても、男なんだけどなぁ…」
いつの間にか、すがた見にかかっていた布をとっていた。
《女みたいな男の子》と言われた事を、まさか気になさっていたとは…
「ねぇ…朔也様は、何をなさってるの?大和、知ってる?」
「それが…………………………」
朔也様に聞こえては、お気をわるくされてしまう。
楓に、耳うちで教える。
「なに、はなしてるの?」
「あ…その…何でもないですのよ?本当に…!」
あせって、言葉がおかしくなってる…
ボロが出ないうちに、話をおわらせよう。
「朔也様、もう2時を回っております。ベッドへお入りになり、お休み下さいませ」
「……イヤだ。ボクがねたら、2人とも…どっか行っちゃうでしょ?いっしょにねてくれなきゃ、ねないもん」
何とも、かわいらしいのだが…
事件がおこる前からパジャマすがたの朔也様はともかく、私達2人はあせをかいたまま…着がえてもいない。
こんなすがたで、同じフトンに入る事など…
「じゃあ、いっしょにねちゃいましょうか♪」
「な…ッ!?楓!お前は、自分の今のすがたが分からないのか!こんなにも、よごれてい………」
楓をおこっている間に、いつの間にか朔也様にだきつかれていた。
「えへへ。さっきたすかった時も、ぎゅ~ってしたから…よごれてるのは、いっしょだよね?………《高木》《水無月》、ボクからのさいしょのメイレイだよ。ボクと、ずっといっしょにいて」
朔也様からの命令にこたえようとしたら、楓がないているのが見えた。
ソデでふこうとするから、ハンカチをわたす。
「………ッ…グスッ……ありがと…」
「どうしたの?ボク…なんか、ダメなこと言っちゃった?」
朔也様をだきしめてから、その場にヒザをついた。
「いっしょにおります。ずっと、あなた様のおそばに…」
ーーーーーーー…………………
ーー7年半後…
時は、1983年4月…
物語は《中学1年生編》へと移行する。
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