第1章 はじまりの子《幼少編》

22/22
前へ
/143ページ
次へ
【大和side】 ーーーーーー………………… ここは、母屋の一室… 洋室になっている部屋の中心には、大きなベッドがおいてある。 「おきゃくさまのおへやって、なんにもないんだね…」 そう言いながら、朔也様は部屋の中を物めずらしそうに見て回っている。 「ちょっと、大和!入口につっ立ってたら、私が入れないじゃないの!」 楓が私をおしのけて、部屋の中に入って行く。 「……………う~ん…どっから見ても、男なんだけどなぁ…」 いつの間にか、すがた見にかかっていた布をとっていた。 《女みたいな男の子》と言われた事を、まさか気になさっていたとは… 「ねぇ…朔也様は、何をなさってるの?大和、知ってる?」 「それが…………………………」 朔也様に聞こえては、お気をわるくされてしまう。 楓に、耳うちで教える。 「なに、はなしてるの?」 「あ…その…何でもないですのよ?本当に…!」 あせって、言葉がおかしくなってる… ボロが出ないうちに、話をおわらせよう。 「朔也様、もう2時を回っております。ベッドへお入りになり、お休み下さいませ」 「……イヤだ。ボクがねたら、2人とも…どっか行っちゃうでしょ?いっしょにねてくれなきゃ、ねないもん」 何とも、かわいらしいのだが… 事件がおこる前からパジャマすがたの朔也様はともかく、私達2人はあせをかいたまま…着がえてもいない。 こんなすがたで、同じフトンに入る事など… 「じゃあ、いっしょにねちゃいましょうか♪」 「な…ッ!?楓!お前は、自分の今のすがたが分からないのか!こんなにも、よごれてい………」 楓をおこっている間に、いつの間にか朔也様にだきつかれていた。 「えへへ。さっきたすかった時も、ぎゅ~ってしたから…よごれてるのは、いっしょだよね?………《高木》《水無月》、ボクからのさいしょのメイレイだよ。ボクと、ずっといっしょにいて」 朔也様からの命令にこたえようとしたら、楓がないているのが見えた。 ソデでふこうとするから、ハンカチをわたす。 「………ッ…グスッ……ありがと…」 「どうしたの?ボク…なんか、ダメなこと言っちゃった?」 朔也様をだきしめてから、その場にヒザをついた。 「いっしょにおります。ずっと、あなた様のおそばに…」 ーーーーーーー………………… ーー7年半後… 時は、1983年4月… 物語は《中学1年生編》へと移行する。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加