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第2章 親友との出会い《中学1年生編》
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ーー1983年4月28日…
ここは、聖陵(せいりょう)学園…
中・高・大の一貫校にして、御曹司や令嬢が数多く通う場所。
そんな中にあっても、特異な存在というのは必ずいるもので…
ーー聖陵学園・正門前…
大勢の人間が、徒歩で通学する中…
一台の黒塗りの車が、正門前に停まった。
視線が車に集中している事を物ともせず、助手席から女性が…後部座席からは男性が降り、車の後方を回って反対側の後部座席のドアに近付いて行く。
ーーガチャ……
ドアが音を立てて開かれて、まだ幼さが残る男の子が降りてきた。
その男の子が誰なのか、今この場にいる人間の中に知らぬ者はいなかった。
ーーバタン…
車のドアを閉めた男性が、運転席に声を掛ける。
「いつも通りの時間に、迎えに来て下さい」
「かしこまりました。行ってらっしゃいませ」
返事をした運転手は、ゆっくりと車を発進させて帰って行った。
先を歩く男の子と、3歩後ろから付き従って歩く男性と女性。
この男性と女性、随分と大人びて見えるが…実際は、男の子とは2歳しか違わない。
しかも…この春、中等部に入学した男の子に合わせるかのように…中等部2年の秋に、この学園に編入してきたのだった。
男の子は1982年7月にカリフォルニアの小等科を卒業し、夏休みの期間中に帰国したばかり…
共にカリフォルニアに行き、共に帰国した2人は…男の子が春に入学する前に、この学園へ編入していた。
ーーー聖陵学園中等部・1年A組教室…
「どこまで付いて来るつもりだ?早く自分達の教室に行け」
どこまでも付いて来る2人に、男の子は呆れた声で意見する。
確かに3年生になるこの2人が、1年生の教室にいる事は明らかにおかしい。
「かしこまりました。では、4限目が終わり次第お迎えに上がります」
男性はそう言うと、教室の出入口に向かって歩き出した。
「朔也様、大和は心配しているのです。自分のいない所で、朔也様に何かあってはと…どうか、お許し下さいませ。お昼休みに、食堂でお待ちしております」
女性は『朔也様』と呼んだ男の子のネクタイを直してから、男性と同じく教室の出入口に向かった。
「………はぁ…」
1人になった男の子は、溜め息をついて鞄から本を取り出した。
ーーガタッ…
自分の席に座って、本を読む…
いつもと変わらないと思っていた日常が、崩れるまで…あと4時間…
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