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【大和side】
「や…やまと…お兄…ちゃん…」
朔也様が、私をよんでる…
おなかをなぐられて、意識が遠くなっていく…
《大和ッ!何としても、朔也様を守るんだッ!》
……………父上!
私は…朔也様を……守ら…なければ…
「…………ぐ………ぅ………はぁ…はぁ……」
おなかをおさえながら、なんとか体を起こした。
私をなぐった刀を持った男が、そんな私を見ておどろいている。
刀についた血は、父上の…
許せない…許さない!
ーーーギリッ…!
なぐられた時に口の中を切ったのか、歯をかみしめたら血の味がした。
「バカな!大の男でも、気を失うくらいの力で殴ったんだぞ!?何で、起き上がれんだよ!」
こっちはこれでも、教育係になるために道場で体をきたえてきたんだ。
簡単には、倒れない!
「や…やま…と…おにい…ちゃ………ッ!?……ゲホッ!…ゴホ…!」
「朔也様ッ!」
朔也様の首をつかんでいた男が、その手に力を入れてすぐに降ろした。
急に空気が入ってむせる朔也様の元へたどり着いて、背中をさする。
「………お…にいちゃ…よかっ…た」
自分の主に心配させて…不安にさせてしまった…
もっと、強くなりたい。
「よかったじゃねぇよ!くそガキがッ!お前ら、今の状況理解してねぇのか!」
父上を殺し私をなぐった男が、どなりながら父上の血がついたままの刀を朔也様に向ける。
「おい…落ち着けよ。悪いね、お2人さん。だが、安心していいよ。契約主から《ガキは殺すな》って言われてっからさ。さっき通って来た…あ~…母屋だっけ?そこでもさ、女のガキが1人いたけど動けない様に柱にくくりつけて来たんだ。目の前で父親がコイツに殺されて、発狂寸前で思わず笑っちまったよ」
《コイツ》と言いながら、刀を持った男を指さした。
《母屋》《女のガキ》《貴様…まさか、水無月を…》
水無月…楓(かえで)…
私と同い年の…家令・水無月家の長女…
「…………かえで……おねえ…ちゃん…」
朔也様にも、《女のガキ》がだれなのか分かってしまった…
小さな肩が、ふるえていた。
「はぁ~…んな事どうでもいいからさぁ、大人しく俺達に付いてこいよ。契約主が、御子息様をお待ちだぜ」
さっきから、男達が言ってる《契約主》…
こんな事件を起こしたという事は、美空家にうらみを持っている人物…
「……………………」
まさか…最近、父上が御前様にさせられていた事と関係が…?
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