第1章 はじまりの子《幼少編》

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【大和side】 「や…やまと…お兄…ちゃん…」 朔也様が、私をよんでる… おなかをなぐられて、意識が遠くなっていく… 《大和ッ!何としても、朔也様を守るんだッ!》 ……………父上! 私は…朔也様を……守ら…なければ… 「…………ぐ………ぅ………はぁ…はぁ……」 おなかをおさえながら、なんとか体を起こした。 私をなぐった刀を持った男が、そんな私を見ておどろいている。 刀についた血は、父上の… 許せない…許さない! ーーーギリッ…! なぐられた時に口の中を切ったのか、歯をかみしめたら血の味がした。 「バカな!大の男でも、気を失うくらいの力で殴ったんだぞ!?何で、起き上がれんだよ!」 こっちはこれでも、教育係になるために道場で体をきたえてきたんだ。 簡単には、倒れない! 「や…やま…と…おにい…ちゃ………ッ!?……ゲホッ!…ゴホ…!」 「朔也様ッ!」 朔也様の首をつかんでいた男が、その手に力を入れてすぐに降ろした。 急に空気が入ってむせる朔也様の元へたどり着いて、背中をさする。 「………お…にいちゃ…よかっ…た」 自分の主に心配させて…不安にさせてしまった… もっと、強くなりたい。 「よかったじゃねぇよ!くそガキがッ!お前ら、今の状況理解してねぇのか!」 父上を殺し私をなぐった男が、どなりながら父上の血がついたままの刀を朔也様に向ける。 「おい…落ち着けよ。悪いね、お2人さん。だが、安心していいよ。契約主から《ガキは殺すな》って言われてっからさ。さっき通って来た…あ~…母屋だっけ?そこでもさ、女のガキが1人いたけど動けない様に柱にくくりつけて来たんだ。目の前で父親がコイツに殺されて、発狂寸前で思わず笑っちまったよ」 《コイツ》と言いながら、刀を持った男を指さした。 《母屋》《女のガキ》《貴様…まさか、水無月を…》 水無月…楓(かえで)… 私と同い年の…家令・水無月家の長女… 「…………かえで……おねえ…ちゃん…」 朔也様にも、《女のガキ》がだれなのか分かってしまった… 小さな肩が、ふるえていた。 「はぁ~…んな事どうでもいいからさぁ、大人しく俺達に付いてこいよ。契約主が、御子息様をお待ちだぜ」 さっきから、男達が言ってる《契約主》… こんな事件を起こしたという事は、美空家にうらみを持っている人物… 「……………………」 まさか…最近、父上が御前様にさせられていた事と関係が…?
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