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「聞いてきた。三階だ。三階の三一一だ」
「久しぶりに来たけどこんなに大きかったけこの病院?」
「アタシも久しぶりだ。まあ人の記憶なんてそんなもんさ」
院内にあるエスカレーターが私とリリィを上に運ぶ。
三階に到着しリリィは廊下の端から病室の入口に取り付けられたプレートを確認していく。
「レインここだ」
「一人部屋?」
「そうみたいだな」
ネームプレートには白須ミナイの名前しか書かれていない。
「どうぞっ」
部屋の中から声がした。ちなみに病室の扉は閉まっている。ノックはまだしていない。
私とリリィは顔を見合わせる。
リリィが扉を開け中に入り私もその後に続く。
窓際に置かれたリクライニング式のベッドによし掛かり、肩まで伸びた髪を左右二つに纏めて、笑顔でこちらを見る白須ミナイの姿がそこにあった。嘘くさくないその笑顔は天真爛漫なキャラクターであることを瞬時にイメージさせた。
病室をぐるりと見ると部屋の隅の小さな台に、お見舞いの品として持ち込まれた黄色い花が花瓶に生けてある。
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