第一生

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「お父様、よろしいんですの??」 その様子を長女、 黒柳鉄虎(クロヤナギテツコ)が溜め息混じりに見つめていた。 「ふむ、あれは確か 黒柳龍子(クロヤナギ リュウコ)ワシの一人目の妻との娘だ。」 「知っていますわ。私の双子の妹ですもの。 ですから、あの子には無理だと解るのですわ。」 憂鬱そうに、貧血気味な貴婦人の如く額に手を当てる鉄虎。 華奢な見た目に反し、剣術の腕は随一の実力者である。 「昔は元服と言って男は15歳で成人と見なした。それに習い、ワシの娘であるお前達を大人と認めるのじゃ!これぞ武士たる者よ!」 「お父様、私17ですけれど。微妙に遅くはございません事?? それに、姉妹一斉に成人の儀とおっしゃいますが、一番末の妹はまだ8歳ですわよ?」 「えぇい、細かい事は気にするな!! 兎に角、今日ここで兜を割る事が出来れば家督を譲ろうぞ!! 同性婚でも何でも認めてやるわ!!グワハハハ!!」 「どの道、龍子に兜割は務まりませんわ。雑で粗暴、剣筋も荒く未だにお箸も上手く持てないんですのよ??」 「妹に対して辛辣過ぎじゃな。まぁ見ておれ…」 47人の姉妹が見守る中、龍子の眼前に兜が投げ放たれる。 「だらぁぁぁぁ!!」 「あっ!!」 龍子が剣を振りかぶり、兜に到達したかと思われたその時、 ポキッという軽快な音と共に刀身は宙を舞った。
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