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「お前、なんでアタシの名前……ていうか」
リリィが当然のツッコミを入れる。
「なんでって言われても視えるんだから仕方ないじゃんか。ウチはスーパーで相手の色んなのが視えちゃうよパワーって呼んでるんだ。この力のこと」
「ダッッッサイ名前だな。アタシがダッッッサイ名前だなってツッコムとこまでその力で視て、名前変えとくべきだったなそれ。なんかスーパーで万引きGメンしてるお前の姿が一瞬で脳内に浮かんだぞ」
確かにヒドイネーミングセンスだ。
彼女の超越した能力への驚きが12%ほど薄まった。
神は白須ミナイに千里眼の力を与え、ネーミングセンスという些細なものを奪ったようだ。
「うっさいなぁ コントロールできないんだから仕様がないじゃんか。てかそんな話はどうでもいい。ウチが猫に襲われた時のことを聞きに来たんだよね? 聞く気がないならウチは別に無理に話す気はないんだけど」
「キレるなよ。悪かったって。なあ? お前のネーミングセンス、カッコイイよ。うん。飛び抜けてカッコイイ。今度アタシがなんか嫌なこととかあった時に意識して今日のこと思い出してみるよ」
憂鬱になった時に、今のくだりを想い出して笑うということだろうか?
それはフォローになってないような気がする。
「だよねぇ? ウチもこの名前は絶対変える気はないよ。なんせこの名前に辿り着くまでに四日もかかったんだから」
「四日かぁ 四日。うん確かに四日かけた名前っぽいよ。うん。ありだわぁ ありあり」
すでにリリィの返しが、友達に寝てないアピールされた時の、どうでもいいけど何かしら言ってあげなきゃならないあの感じと同等のレベルに到達している。
「じゃあ、宴も竹馬だけどそろそろ本題に入るよ」
「ああ。頼むよ」
リリィはツッコムのを放棄したようだ。
仮にこの場が宴の席だったとしても、リリィも私も竹馬に乗ってここまでやって来たわけではない。
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