第1章

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翌朝、夏河はコーヒーを入れてくれた。 居候中の日課だ。 「おは。トーカ、食べ。パン」 こいつは普段、日本語を省略する。 「ん。ありがとう」 早起きしてパンを買ってきたらしい。 「なあ、祖母ちゃんが言ってた、お話の女の子の話覚えてるか」 「あー。うん。 話 種 集める」 「……刷込みってすごいな」 あれは結末ではなく、種だった。 まだ物語は 終わってない。 「なあ、ジャリの話をもっと聞かせてくれ」 カップを置いて夏河が背伸びする。 「りょ」 ユルグと火の物語が、残っている。 次の物語への扉が、開いたーーーーー 【完】
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