第1章

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「ほら、この間の『全開の水の音』好評だっただろーが。お前はほっとくと辛気臭いものばっか書くから、俺の企画もたまにはいいだろ、な?」 「ムーリー」 「いいじゃないのー?」 「夏河がまだネタ持ってこねーもん。」 「あいつ無しでも書けるんじゃねーか」 「ダメよー。 ダメダメ。全くダメ。俺は取材もろくに行けないし、今日もバスを間違えたし ジメジメしてきた冬可に、グラスを渡す。 「あ、夏河って翻訳出来んの?」 二人とも、しばし無言で喉を潤す 「出来ないことは無いだろうけど、こう、滑らかじゃないというか。あいつの訳したもんは」 「……ああ、日本語が残念なんだな。」 会話は上達早いのに。 日本語のヒアリングが苦手な日本人。
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