その少女、有頂天。

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◇ いったいどれが正しい行動だったんだろうか。 この機会に私はしっかり考えてみることにした。 まず絆創膏。 まなちゃんから渡されたあの絆創膏を、誰経由で渡せばカジヤン君と会わないという結末にたどり着けるんだろう。 斉藤は、間違いなく却下。 まなちゃんが渡せばいいのでは、と思わなくもないが、そしたらカジヤン君が来るまで渡せないわけだ。 結論。 渡さなければよかった。 「くっそ!」 斉藤に渡さなけりゃよかった!! 渡さなければ…こんなことになるはずがなかったんだ。 「どうした宮路」 きょとんと首をかしげるカジヤン君。 全部君のせいだよ?ってその純粋な笑みに知らしめてやりたい。 「分かったカジヤン君。」 「何がだよ」 「LINE、交換しよう!」 「…へ。」 ぽて、と彼が掴んでいたから揚げが弁当箱にダイブした。 …そこまで驚かせるようなこと言っただろうか。 「ケータイ、もってるだしょ??」 「そ、そりゃ持ってるけど…」 「よし。はい、チェンジターイム」 LINEを交換すれば、顔を合わせなくても会話できる。 しかも既読という機能が備わっているので、既読がついていなければ見てないということもわかる。 あんまり放置しすぎると直で会わないといけなさそうだから、そこら辺は適度にすれば解決。 やばい、私、もしかして天才!? 「急にどうした!?」 「んー?だってさ、ほら、おごる約束あるじゃん。いちいち会わないといけないのも厄介じゃないか、少年!!」 「…な、なんかうれしそうだな」 そういうカジヤン君のほうが嬉しそうだ。 「ほら、ケータイだす!!」 「…、」 私のことを不審者を見るような目つきで、カジヤン君は恐る恐るケータイを出す。 「あ。私LINEの交換の仕方、しらんや。カジヤン君、よろ!」 「言い出したのお前のくせに」 ほら、と手を出してきたのでふざけて私は自分の手をのせる。 「ばっ、ちっげーよ!!ケータイ!!」 「知ってるよ」 カジヤン君は超からかいたくなる。 「宮路、ロックはずしてくれよ」 「私のバースデイだよ」 「自分で打てよ」 「へいへい」 メロンパンを咥えながら私は、ロックナンバーを打ち込む。 カジヤン君に見られてしまったけど、別に困ることはないのでスルー。
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