その少女、驚く。

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私の子供の時から貫いてる意志的に、気になったことはすぐ聞くっていうのがある。 だから聞くことに対して恥ずかしさがあるとかは全くないけれど、…失礼じゃないだろうか。 あ、でも。カジヤン君相手なんだから平気か。 でもそれだと、なんかいやだ。 LINEを交換したから距離が縮まったとでも思ってるんだろうか、私は。 …なんか、いやだな。 思考が恋する乙女みたいじゃないか。 逆を返せば、名前さえ知ればあとはポイッと捨てられるってことだ。 名前、訊こう。 LINEでいいか。 うん、LINEでいいよ。 よし。 有言実行。 別に誰かに言ったわけじゃないけど、思ったらすぐ行動。 「宮路が…ケータイいじってやがる」 「あれ、まだいたんだ」 「お前が引き留めたのに、ひどい奴だな」 「引き止めたっけぇ?」 「あっそ」 斉藤はそう言って、どこかへ行ってしまった。 特別な用事があったわけでもないので構わないんだけど。 斉藤とおさらばした私は、自分の席に座ってケータイをいじる。 カジヤン君に〔フルネーム、漢字で教えて☆〕といえばおかしくないだろう。 …やっぱり、私って天才かもしれない。 それはさておき。 カジヤン君、普通に休み時間は友達と話してるだろうな…。 返事、遅いだろうな。 気長に待とう、と思った直後、既読がついた。 カジヤン君、友達いないんだろうか…と、からかってやりたい。 尤も私が言うと、半分ほど自虐ネタっぽいのでやめようとすぐに思ったが。 ブー、とケータイが振動して画面に新たな文字が増える。 〔梶ヶ谷!!!〕と一言。 「…、」 カジヤン君、フルネームって言葉知らないんだろうか。
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