115人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「愛の色が知りたい」
無茶なお願いだとは思う。
意地悪かな、とも思う。
でも自称愛の伝道師なら、知っているかもしれないという都合のいい淡い希望。
斑目はしばらく考え込んでいた。
さっきの沈黙は怖くなかったのに、扉越しの沈黙は私を不安にさせる。
そして不意に斑目が話し出す。
「君は愛に色があると思ってる?」
「表現できない色はないと思ってる」
「そうか……。うん。わかった。教えてあげるよ、愛の色」
安請け合いしたようにも受け取れる斑目の言い方に、一抹の不安を感じる。
「じゃあ聞くわ。愛は、何色?」
「知らない」
「……」
最初のコメントを投稿しよう!