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「愛の色が知りたい」  無茶なお願いだとは思う。  意地悪かな、とも思う。  でも自称愛の伝道師なら、知っているかもしれないという都合のいい淡い希望。  斑目はしばらく考え込んでいた。  さっきの沈黙は怖くなかったのに、扉越しの沈黙は私を不安にさせる。  そして不意に斑目が話し出す。 「君は愛に色があると思ってる?」 「表現できない色はないと思ってる」 「そうか……。うん。わかった。教えてあげるよ、愛の色」  安請け合いしたようにも受け取れる斑目の言い方に、一抹の不安を感じる。 「じゃあ聞くわ。愛は、何色?」 「知らない」 「……」
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