1人が本棚に入れています
本棚に追加
それとも、悲観的なら一方通行は許されるって思うの?」
「どういうこと?」
*「君は温くなった珈琲じゃない。けれど温くても俺は
ユーモアで味わい方を、接触する結節点を増やしたいって思うよ。」
「じゃあ、私は、」
*「そうなんだよ。君は片思いじゃないんだ最初から。」
「でも、好きっていうのは譲らない。」
*「意地っ張りだなあ。悲観的っていうのは
珈琲へのミルクみたいなもんだと思うけどな。」
「好き。」
*「結構、強引だね。それでも悲観的なんだ?
真ん中から割る甘栗みたいな言い方だね。」
「好き。あなたが好き。」
*「悪いけど俺は君が好きであって、君が誰を好きであるかは、
嬉しかったり悲しかったりしても、重大ではないよ。
珈琲の温度みたいに。」
「好き。大好き。どうしても好き。」
*「一方通行が好きなのかい?」
「好き。好き。何もかも好き。涙を拭く気もない程に好き。」
*「まぁそういう考え方も、あるけれどさ」
ウエイターが珈琲のおかわりを
持ってくるまで終らない。
俺たちは壊れかけていても終らない。
豆を挽く匂いが香ばしい。
最初のコメントを投稿しよう!