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まぁいいや、町へ行くなら”CATBAR”って店の裏にいる
灰色の猫がいるんだけど、彼女へ僕からって判るように、
このヒゲを一本持って行くんだ。そうすれば元に戻れる。」
そういってトリックは大切なヒゲを、一本抜いて私にくれました。
でも、町へ行くならと言われても、もう外には出れないのですし。
するとトリックは何でもなさげに、
呪文書を咥えて引きずって持って来ました。
その中にある【猫と話す魔法】のページを開きました。
トリックはその”1つ前”のページを開きました。
【コウモリに化ける魔法】
初めて見る呪文です。
お母様はこのページを教えて下さらなかった。
トリックは気軽に言いました。
「Cの前はBだからね。その灰色の猫にヒゲの匂いを嗅げばボクだと判る。
姫様は1つ後ろに下がってもCATには成らないで、人間に戻るだけだ。
もう一度、BATに成るなら、自分でヒゲの匂いを嗅げばいい。
呪文書は元に戻しておくよ。お土産は忘れないでね。」
この呪文も解かないままで、そのようにするつもりです。
コウモリに化ける王女なんて、今度こそ誰にもバレません。
トリックがいつもそうするように、また城を飛び出します。
もちろん、勉強のためです。
でも、ワインを持ち出すのはやめておきます。
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