第1章

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まぁいいや、町へ行くなら”CATBAR”って店の裏にいる 灰色の猫がいるんだけど、彼女へ僕からって判るように、 このヒゲを一本持って行くんだ。そうすれば元に戻れる。」  そういってトリックは大切なヒゲを、一本抜いて私にくれました。 でも、町へ行くならと言われても、もう外には出れないのですし。  するとトリックは何でもなさげに、 呪文書を咥えて引きずって持って来ました。 その中にある【猫と話す魔法】のページを開きました。  トリックはその”1つ前”のページを開きました。 【コウモリに化ける魔法】  初めて見る呪文です。 お母様はこのページを教えて下さらなかった。 トリックは気軽に言いました。 「Cの前はBだからね。その灰色の猫にヒゲの匂いを嗅げばボクだと判る。 姫様は1つ後ろに下がってもCATには成らないで、人間に戻るだけだ。 もう一度、BATに成るなら、自分でヒゲの匂いを嗅げばいい。 呪文書は元に戻しておくよ。お土産は忘れないでね。」  この呪文も解かないままで、そのようにするつもりです。 コウモリに化ける王女なんて、今度こそ誰にもバレません。 トリックがいつもそうするように、また城を飛び出します。  もちろん、勉強のためです。 でも、ワインを持ち出すのはやめておきます。
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