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『問題は秋彦だ。』
「秋彦さんがどうかしたの?」
『あの夜、何故鬼柳の里に人が入って来られたと思う?』
梓はまだ幼い。だが、真実を知る必要がある。
「僕もおかしいとは思った。だって、人間に知られないように里には結界が張っていた。」
『・・・秋彦だよ。秋彦が手引きしたんだ。』
「!?どうして!?同じ里の鬼なのに!?そんなことあるわけ『それがあるんだよ。私は秋彦が人間と話しているところを目撃している。第一、嘘をついてなんになる?』
「じゃあ、葵は!?秋彦さんの所にいるんでしょ!?僕みたいに葵も連れ出してよ!」
『・・・無理だ。葵は秋彦を父と思い、秋彦も葵を娘として育てている。そんな中、私が訪ねて行っても葵は納得しない。それに、葵には面識がない。今のところ葵は安全だ。』
「でも!」
『精霊に頼んで、葵の事はずっと見張っている。何かあったら、精霊が助けてくれるだろう。必ず、葵と梓を会わせてあげる。だが、まだその時ではない。待っててくれるか?』
「・・・分かった。和泉さん、僕強くなりたい。一緒に居てもいい?」
『あぁ。お前を何者からも護ることを誓おう。』
それから、和泉は日本中を梓と旅しながら梓に自分が持っている全ての事を教え、育てた。
家事。
『ここをこうやって・・・』
「こう?」
『そうそう!』
医学。
『この薬草は傷口に良く効く。』
「和泉姉さん、これは?」
『それは、毒キノコだ!』
音楽。
『これは、琵琶と言って・・・』
「~♪~♪~♪」
『・・・梓、私より上手くない?」
学問。
『徒然草を書いた人は?』
「紫式部!」
『違う!兼好法師!』
英語も、これから必要になる時がくると思い、一応教えた。
一つ、和泉は梓に教えなかったことがあった。それは武芸だった。
和泉は決して、自分の武芸を梓には教えようとはしなかった。
『今日は鞍馬天狗に来てもらった!』
「え!?昨日は酒呑童子じゃなかった!?」
その代わり、和泉は日本中で知り合った武芸に秀でていた妖怪達に梓に稽古をつけて貰った。
そして、一通り日本中を周り終わると、京の山奥に屋敷を建てた。
全国で拾ったはぐれ妖怪と一緒に暮らすことにしたのだ。
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