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文久三年十二月 京 和泉は一人で七歩蛇に乗り夜の散歩をしていた。 「和泉様~、梓にまた怒られますよ?」 『いいんだよ、今回は理由があるんだから。』 実は、秋彦と暮らしていた葵が京に一人で向かった。という情報が精霊から教えられたのだ。 それで、夜になり梓の目を盗んで葵を見にきている。 「待ちやがれ小僧!」 『ん?』 ふと、下をを見ると誰かが浪士に追いかけられていた。 『・・・七歩蛇、もう帰ってていいよ。じゃな、お休み!』 和泉はそういうと、七歩蛇から飛び降りた。 「え!?和泉様!?そんなことしたら、梓に怒られるの俺じゃないすか!?・・・行ってしまわれた・・・」 和泉は七歩蛇をほっといて下に降りると先回りをして追いかけられていた人を追いかけた。和泉は京の地形に詳しいのだ。 「逃げ足の早い小僧だ」 「まだ遠くはいっちゃいねぇ・・・捜せ!」 浪士はいたが、肝心の人が見つからない。どこかに隠れたのか? 「ぎゃあああっ!」 いきなり、一人の男によって浪士が斬られた。 「畜生やりやがったな!」 ズパッ ブシ・・・ 仲間の浪士が切り返したが・・・ 「くそっ・・・なんで死なねぇ!」 「ひひひ・・・」 いきなり現れた三人組は皆、白髪に曇った血のような赤い目、そして、浅葱色の羽織。 『あれは・・・』 新選組の羅刹か。大方、管理不足で逃げ出したんだろう。もう、血に狂い理性を失っているようだった。 「ひひひ・・・」 「た、助け・・・」 羅刹が浪士に斬り掛かった。 ブシャャャャャャャ 「うぎゃあああ」 『・・・大丈夫か?』 和泉は素早く羅刹を後ろから斬りつけた。 『って、気絶してる・・・情けない・・・』 浪士は失禁をして倒れていた。死を前に恐怖したのだろう。 ガランガランッ 和泉の背後で木材が倒れる音がした。 和泉が慌てて後ろを、振り向くと男装した少女が立ちすくんでいた。 当然羅刹達も少女の方へ関心が向く。 「あ・・・あ・・・!」 羅刹達が少女に斬り掛かった。 『・・・止まれ!』 和泉の目が紅く染まり、声を鋭く出した。 すると、羅刹達はピタリと立ち止まった。
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