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和泉は、屯所に着くと、部屋に縄を縛られ葵と一緒に閉じ込められた。縄などいつでも解けるのだか、葵がいるためそうもいかなかった。
夜が明けて、空が白み始めた頃葵が目を覚ました。
「ここは・・・?」
『新選組の屯所だ。』
「貴方は確か先程の・・・」
『和泉だ。危ないところだったな。』
「私は鬼柳 葵と申します。先程は有難うございました。」
『お礼を言うことでもないさ。』
「おや、目を覚ましたのかい?」
葵と和泉が話していると、中年の男が入ってきた。
「こんな扱いですまないね。今、縄を緩めるからね。私は井上源三郎。」
いい人だ。あの、傍観していた男なんか嬉々として縄をしめていった。
『・・・有難うごさいます。』
「いやいや、ちょっと来てもらえるかい?」
和泉と葵は井上に案内され、一つの部屋の中に入った。
中に入ると、新選組の幹部と思われる男達が揃っていた。
「で、こいつらが目撃者なの?そこのやつなんか小さいし、まだ餓鬼じゃねぇか。」
小柄な男が口を開いた。
「そういう平助も似たようなもんだろが。」
「だな。平助も餓鬼だよ。」
筋肉質の男と長身の男がからかうように言った。
「うるさいなぁ!おじさん達は黙っててよ!」
「なんだと!」
「そこの三人、黙らんか!」
上座に座っている男が三人を諌めた。
「俺は新選組局長の近藤勇だ。で、俺の隣がトシ・・・土方君で副長をやっている「近藤さん何紹介してるんだ。」
「だめだったか?」
土方と言われていた男が溜息をはいた。
近藤は咳払いをすると、口を開いた。
「・・・では本題に入ろう。改めて昨晩の話を聞かせてくれるか」
「・・・はい。」
着流しを着ている男が応えた。
「昨晩京市中を巡回中に隊士達が不逞浪士らと遭遇。斬り合いになった後浪士らを斬り伏せましたがその折失敗した様子を目撃されています。」
「私何も見てません!」
葵が訴えかけた。
「あれ?総司の話ではおまえが隊士どもを助けてくれたって話だったが・・・」
傍観してい男、総司がニヤリと笑った。
「ち、違います!私が浪士達から逃げていたところを和泉さんがたすけてくれ『葵!』
和泉が慌てて口を挟んだが遅かった。
「じゃあ隊士どもが浪士どもが浪士を殺しているところはしっかり見ちまったわけだ。」
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