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「・・・・・」
土方は葵の様子を見て何も知らないことを知った。
「ひと月ほど前、秋彦さんが詰めていた屋敷が火事で焼け落ちて以来行方が判らなくなっている。」
「え・・・・!」
「遺体は見つかってねぇ。・・・ただなんらかの事件に巻き込まれた可能性はある。」
丁度、梓が秋彦が京に居ると知って攻めにいった時の事だね。あの時は大変だったな・・・秋彦は逃げるし、火事が起こるし人は集まってくるわで仕方なく梓を連れてその場から立ち去ったんだよね。
「秋彦さんの行方は俺達も追ってるところだ。昨夜の件を忘れるなら父親が見つかるまでの間おまえを保護してやる。」
『え。』
「どうしてお前が驚くんだ。」
『いや、何にもない・・・』
不味い。秋彦が葵の側に居ないし、葵を屋敷に連れて帰ろうと思ってたのに。新選組にいたら、葵は暫くは抜けることは出来なくなる。
「心配するな!君の父上は我々が必ず見つけ出してみせる!」
「あ・・・有難うございます!」
「で、次はお前だ。斎藤、鬼柳を部屋に戻せ。」
「・・・はい。」
斎藤が戻ってくると、全員が和泉に視線を向けた。
『俺の名前は東狐 和泉。親は小さい頃に死んだ。今は全国を旅して回ってる。以上だ。質問はあるか?』
土方は顔を顰めた。
「死んだ隊士の傷を見ると、心の臓を一突きされていた。それに、どうやって隊士を気絶させた?」
羅刹は身体能力が上がり、瞬発力も高い。羅刹を手刀で気絶させるなんて土方達は信じられなかった。
『心の臓を止めれば死ぬだろう?』
和泉が答えると、幹部は顔色を変えた。
『・・・人間の急所だろう?なんでそこまで気にする?それに、隙があったから気絶させただけだ。無駄な殺生はしない主義だ。』
和泉は逆に問いかけた。
「・・・いや、お前何流だ?」
『全国の道場で習ったからな、色んなのが混じり合ってるから流儀はない。』
「よし!和泉君、ウチの隊士に、ならないか?」
「近藤さん!いきなりなにを!」
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