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「東狐君は聞いていると優れた剣豪だ。それに、今はそういう人材が欲しい。殺してしまうのは惜しい。」
「だが、近藤さんこいつが長州の回し者かもしれねぇ。信用できない!」
「彼は鬼柳君が居る限り、我々に手出しはしないだろう。」
へぇ。新選組のお飾りの局長かと思ってたけど、なかなかやるな。
「東狐君、隊士になってくれるかい?」
『ならないと殺されるんだろう?なるよ。』
「近藤さんがそう言うなら、仕方ねぇ。だが、入隊試験は行う。・・・相手は・・・総司、頼むぞ。」
土方はニヤリと笑った。総司に勝てる奴なんてそうそう居ないと思っていたからだ。
「とにかく、まずは自己紹介だな!さっきも言ったが俺は新選組局長の近藤勇だ。」
「・・・新選組副長の土方歳三だ。・・・隊士になるからには敬語を使え。」
「同じく、副長の山南敬介です。」
「じゃあ、次は僕かな?一番組組長沖田総司。殺されずにすんで良かったね。」
「俺は二番組組長の永倉新八だ!宜しくな!」
「・・・三番組組長斎藤一だ。」
「三番組組長の藤堂平助だ!仲良くしような!」
「八番組組長の原田左之助だ。」
『此方こそ宜しくお願いします。』
「よし、次は入隊試験だな。トシ、道場は今空いてるか?」
「あぁ、隊士達の稽古にはまだ早いからな。空いてるだろうよ。」
和泉と一同は部屋を出て道場に向かうことになった。
「では、東狐和泉の入隊試験を行う。・・・・始めっ!」
和泉と沖田はお互いに相手の出方を待つ。
さすが、沖田総司だ。隙が一つもない。・・・仕方ない。此方からいこう。
ガンッ
沖田と和泉の木刀が交わり音を立てる。
「っ君、強いね!」
「それはどうも!」
「へぇ、あいつ総司相手に中々やるなぁ。俺も相手してもらいたいぜ。」
永倉が呟いた。和泉は強いと聞いていたが、ここまでとは思わなかったのだ。
暫く、攻防戦が続いていたが和泉が沖田を押し始めた。
すると、沖田が焦り始めたのか三段突きを繰り出した。
三段突きとは、沖田が独特に編み出した技で一拍の間に敵の喉、鳩尾、胸を突くというもの。
これをかわせた者は新選組の中でも少ない。よって、沖田は土方から試合や稽古で使用することは禁じられていた。
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