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「・・・もらった!」 沖田が和泉の急所を捉えた時、和泉は不自然な動きをした。避けようとしたが、止めたのだ。今、沖田に勝ってしまうと後々面倒になる。 ガンッ 沖田の木刀が道場の壁に当たっていた。和泉の首筋の真横だ。 『・・・僕の負けですね。』 沖田はゆっくり木刀を下ろした。 「勝者、沖田総司!」 「っ違う!僕じゃない!」 沖田は叫んだ。試合に熱中し過ぎて、禁止されていた三段突きを出してしまった時、気づけば和泉の急所を捉えてしまった後で、そのまま行けば和泉に大怪我をさせていた。なのに、和泉は避けようとした素振りをしたのに避けなかった、いや、避けたが反撃しなかったのだ。 「なにいってんだ、総司今のはお前の勝ちだろうが。」 『沖田さんの勝ちですよ?』 沖田は和泉の腕を掴んだ。 「何で、反撃しなかったの!?あの時僕の胴はガラ空きだった!」 『いや、勝負はついてたよ。』 和泉は沖田の手を自分の腕から離れさせた。 『で、土方さん。僕はどこの所属なんです?』 「土方さん!僕の組に和泉が欲しいです!」 沖田が土方に頼み込んだ。やっと、自分より圧倒的に強いかも知れない相手に出会えたのだ。 「・・・お前は一番組の隊士となれ。」 『そうですか。沖田さん、宜しくお願いします。』 和泉は沖田に微笑んだ。 「・・・また、試合してくれる?」 『ええ、勿論。』 「約束だからね!」 沖田は目を輝かせた。 ・・・・何だろう。沖田さんの後ろに尻尾が見える。気のせいかな。うん、気のせいだ。 「でもよ、部屋はどうすんだ?空きの部屋なんてひとつしかないんじゃねえか?」 土方がしまったという顔をした。 それは、考えなかったのだろう。 「誰かと相部屋でいいんじゃない?」 藤堂が提案した。 「東狐さんっ!僕の部屋に来てよ!」 沖田が名乗り出た。 この様子だと、私が女だってばれてないのかな・・・ 『いいですよ。土方さんいいですか?』 「・・・好きにしろ。」 「やった!東狐さん、仲良くしましょうね!」 その後、葵は女なので一人部屋が与えられ、新選組の女中になった。 和泉は他の隊士達と同じ部屋でも良かったのだが、まだ信用されていないし、昨夜の件のこともあって幹部の沖田と同じ部屋ということになった。
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