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その夜、沖田と斎藤は土方に呼ばれ土方の部屋の中にいた。
「・・・どう思う?」
「どうって和泉さんですか?あの人凄いですよね!」
「東狐のこともだが、葵のことだ。」
「秋彦さんの事情を知っているのは幹部連中だけだ。下手に探し回ることもできねぇ。そんな時に娘が現れるってのは・・・」
「副長は彼女に秋彦さん探しに参加させるおつもりですか?」
「・・・いずれはな。だが、今はまだあいつの存在が吉凶のどちらかわからねぇ。秘密も漏らさねえとも限らない。東狐はなぜあいつを気にかける?おれは東狐がわからねぇ。あいつぐらいの腕なら何処かに所属しててもおかしくはねぇ。・・・暫く東狐は山崎の監視下に置く。」
「総司、斎藤あいつらから片時も目を離すなよ。」
同時刻、和泉は沖田の部屋に連れてこられたが沖田が何処かにいってしまい暇を持て余していた。
暫く、屋敷には帰れないし天井の上に監視の者がいるから、梓に事情を話すこともできない。
・・・・梓怒ってるだろうなぁ。
『ねぇ、暇。君もさ、そんな埃っぽいとこにいないで監視のついでに僕と喋ろう。』
和泉は天井に向かって話しかけた。
天井から、動揺したのか物音がした。
『ねぇってば、聞いてるのか?もしかして無視?傷つくなー』
「煩いですよ。静かにして下さい。」
天井から、黒い装束を着ている男が音もなく降りてきた。
『君、何て名前?俺は東狐和泉。よろしく。』
「どうして、私がいるって分かったんですか?」
『名前は?』
「人の話をきけっちゅねん!・・
・あ。」
『君、大阪出身?いいね、食べ物が美味しそうだ。』
「はぁ、わいは山崎丞や。なんでわいが天井にいるって分かったんや?」
『人の気配がしたからな。普通じゃないか?』
「いや、普通ならわいには気づかんと思うで。てか、それやったら監察方やってけへんわ。」
『もしかして、喋りかけたら駄目だったのか?』
「いや、喋るもなにも・・・てか、いつから気付いてたんや?」
『皆で話してた時からだな。』
「そんな早くから!?なんか、気付かれてないと思ってた自分が恥ずかしいわ。」
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