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絵は音楽や演劇、映画と違って瞬間的な印象能力がある。
同時に、生涯を一枚の絵に没頭する事も可能な無限の引力もある。
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君は未来というモノと仮定しておこうか。
そこに何を期待するかね?
無論、数分後や数年後という話ではない。
過去記録に残すだけの表面的か水面下か、どちらでもよい。
つまりは分岐点を跨ぐ様な、その後における未来だ。
単純に考えてくれ。
一般道路から、高速道路へ移動する為の
段差とそれほど違うわけではない。
そんな認識でも構わないし。
遥かに自由自在に捉えてくれてもいい。
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***「私は絵を描きます」***
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そうか。ならばどれもまた好かろう。
問題はだ、君が最も危険な人物であり
絵筆のスキルから、大きなインパクトを決定できる女性だ。
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*** 水をグラスに注ぐ音がする。 ***
*** 間違いなく水だ。 ***
*** 不純物を溶かした、濁りを聞き間違えたりしない。 ***
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幸か不幸か、私は片方が義眼でね。
無論、どちらの眼なのかは、目隠しで拘束されている君には
判別できないと思う。この考えは合っているだろうか?
不都合が無ければ、君の不自由に対する極僅かな謝罪として
水を一杯、贈らせて頂きたいのだが。
ご返答を願えるかね?
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*** 水は水彩に利用したい。 ***
*** 私の抵抗はそこにだけある。 ***
***→
義眼という情報も疑わしいし、この部屋に私以外の
別な人物がいるかどうかも怪しい。
声のトーンで男性だと判断しているけれど。
目隠しだけで気配を感じさせるなど、容易い。
私は視覚を盗まれた経験がない、従ってこの情報は
実は信用できる。
この部屋、つまりは空間は余り重要ではない。
私が拘束されている事を、認識できるブラフでしかない。
目隠ししていても、室内か屋外位の違いは判る。
とすれば声の主、私を此処へ拉致した人物
又は、そのグループが私に対して接触を試みている。
仮にこの部屋に移動する物体の感覚をイメージさせる為の
ダミーが、グラスに水を汲んでいたとしても
どこかで私を監視している人物がいるだろう。
正しくは監視していなくても、精査して管理している人間がいる。
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かの、著名なレオナルド・ダヴィンチは言ったそうだね。
絵画は究極であり、音楽は実に惜しいと。
それは時間的制約があるからだと。
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