【プロローグ】はじまりの悪夢

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――あっちには、パパとママが寝ているのに。 あっちには、外に出られるような、大きな窓もベランダも、ないのに。 「やだ……っ、いやだっ!」 パパとママのところに行く! 「かなこちゃん!」 一瞬緩んだ蓮くんの手をすり抜けて、 わたしは、再び身体を支配する恐怖心に勝てず、四つんばいのまま、ドアの方へ這い進もうとした、 その時だった。 ピキリ――と、 不気味な亀裂音がドアの方から上がった、その刹那、 「っ……!?」 悲鳴を上げる暇もなく。 巻き起こったもの凄い熱風と衝撃に、全身が文字通り、吹き飛ばされた。 視界を埋め尽くすのは、すべてを飲み込む紅蓮の炎。
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