【プロローグ】はじまりの悪夢

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――燃える。 みんな、燃えてしまう。 パパも、ママも、おばあちゃんも、 そして、わたしも、蓮くんも……。 灼熱の地獄の中で、薄れていく、わたしの意識が感じ取ったのは、 強く強く、繋がれた、手の感触。 すべてを焼きつくす炎にも負けない、そのたしかな温もりが、 消えかけていたわたし命を、かろうじて、この世界に繋ぎとめたのだと思う。 結局。 その火事で、わたしの家と隣家、佐久間家が全焼し、 爆風で、階下の柔らかい芝生の上まで吹き飛ばされた、わたしと蓮くんは、九死に一生を得た。
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