【プロローグ】はじまりの悪夢

14/37
前へ
/37ページ
次へ
たいして、煙を吸い込んでいなかったこと、 わたしたちの体重が、軽かったこと、 落ちた場所が、柔らかい芝生の上だったことが、幸いしたのだと、後から聞かされた。 でも、さらに後日、 その幸運をかき消してあまりある不幸な報せが、入院中の、わたしたちに、もたらされた。 家族の、死を告げる、 それは、とてつもない、凶報だった。 奇跡的に、軽度のヤケドですんだわたしと、 わたしをかばうように抱きこんでいたため、背中に大きなヤケドを追った蓮くんは、一度に、すべての家族を失った。 わたしたちは、二人同時に、天涯孤独の身の上になってしまったのだ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加