【プロローグ】はじまりの悪夢

15/37
前へ
/37ページ
次へ
はっきりとした、火事の原因は分からなかった。 生き残った子供たち、 わたしと蓮くんの話から、 火事の直前に誕生日パーティが行われていたこと、 両家の両親とも、遺体から、少量ではあるが、アルコール分が検出されたことから、 料理の火の不始末から起こった『失火』だったのでは? との推論がされたけど、はっきりしたことは、分かっていない。 だた、消防士の家庭を巻き込んだその火災の悲劇を、週刊誌やテレビのワイドショーが、センセーショナルに騒ぎ立てた。 『消防士のくせに、失火で死ぬなんて』 悪意をもった、そんな流言飛語が、子供のわたしの耳にまで届いていた。 たぶんそのことで、蓮くんは、わたし以上に、辛く悔しい思いをしていたはずだ。 そして、その後の、わたしたちの処遇はといえば、 両家とも、親族との縁が薄く、二人を引き取ってくれる身内は存在せず、 わたしたちは、それぞれ、別々の児童擁護施設に預けられることになってしまった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加