【プロローグ】はじまりの悪夢

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その日の記憶はおぼろげで、 細かい経緯は、あまりはっきりとは覚えていない。 だた、わたしの、五歳の誕生パーティーを、パパとママと、おばあちゃん、 それと、家族ぐるみで仲が良い『お隣の佐久間さん家の家族』を招いて、みんなで祝ってくれていたこと、 生まれたときからのお隣さんで、幼稚園でも、一番仲良しの『蓮くん』が、今日はお泊りしてくれる予定になっていることが、とても嬉しかったのは、良く覚えている。 「えー、では五歳のレディーになった、桜幼稚園もも組の、本郷かなこさんに、ママがインタビューしまーす」 そういって、わたしに、おもちゃのマイクを向けるママの表情は、まるで、少女のように無邪気で楽しげだ。 「かなこさんは、大きくなったら、何になりたいんですかー?」 そのとき、わたしのマイブームは、テレビアニメの魔法少女。 魔法を得たごく普通の少女が、仲間たちとともに悪の組織と戦う、定番の勧善懲悪モノだ。 だからわたしは迷わず胸を張って、言い放った。 「わたし、魔女になるのっ!」
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