14人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の記憶はおぼろげで、
細かい経緯は、あまりはっきりとは覚えていない。
だた、わたしの、五歳の誕生パーティーを、パパとママと、おばあちゃん、
それと、家族ぐるみで仲が良い『お隣の佐久間さん家の家族』を招いて、みんなで祝ってくれていたこと、
生まれたときからのお隣さんで、幼稚園でも、一番仲良しの『蓮くん』が、今日はお泊りしてくれる予定になっていることが、とても嬉しかったのは、良く覚えている。
「えー、では五歳のレディーになった、桜幼稚園もも組の、本郷かなこさんに、ママがインタビューしまーす」
そういって、わたしに、おもちゃのマイクを向けるママの表情は、まるで、少女のように無邪気で楽しげだ。
「かなこさんは、大きくなったら、何になりたいんですかー?」
そのとき、わたしのマイブームは、テレビアニメの魔法少女。
魔法を得たごく普通の少女が、仲間たちとともに悪の組織と戦う、定番の勧善懲悪モノだ。
だからわたしは迷わず胸を張って、言い放った。
「わたし、魔女になるのっ!」
最初のコメントを投稿しよう!