【プロローグ】はじまりの悪夢

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パパからは、魔法少女の、ピンクの衣装セット。 ママからは、魔法少女の、お化粧セット。 おばあちゃんからは、魔法少女の、絵本セット。 おじさんと、おばさんからは、魔法少女の、ステッキ・セット。 そして、蓮くんからは、魔法少女の、ヘアピン。 わたしのお気に入りの魔法少女がしているのと同じ、黄色いお星様の形をしたヘアピンだ。 まるで、魔法少女オンリー市場だ。 沈んだ気持ちは、一瞬にして天にも届く勢いで、浮き上がる。 ――すごい! みんな、みんな、 わたしの大好きなものが分かったんだ! 「ほら、こういうときは、なんていうんだっけ?」 優しいトーンのママ声に問われたわたしは、力強く、コクンとうなずく。 人に、何かをもらったり、何かをしてもらったとき、 どうするかは、わかってる。 それは、もう、ずうっと前に、ママが教えてくれたこと。 「ありがとうございますっ!」 わたしは、せいいっぱいの感謝の気持ちを込めて、勢いよくペコリと頭を下げた。
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