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「かな……ゃん!」
誰かが呼んでいる。
「う……ん?」
だぁれ?
「れん……、くん?」
「かなこちゃん、おきてっ!」
激しく身体を揺さぶられたわたしの意識は、幸せすぎる夢から現実へと、強引に引き戻された。
身体を少し起こしかけた、次の瞬間。
鼻腔を直撃してきた、今まで感じたことがない強烈な刺激臭に、思わず全身でむせ返った。
目がいたい。
のども、ヒリヒリする。
ダウンライトの明かりだけでよく見えないけど、部屋中に、モクモクと熱を含んだ何かが充満している。
――け、けむり!?
「っ、ゲホゲホゲホっ!」
「こっちにおりて、あたまをあげないで!」
ぎゅっと握られたその手に導かれるまま、わたしは、這うようにベットから降りて、フローリングの床に、四つんばいになった。
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