天庭の守護者

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俺はその言葉に頷き、一歩下がると右手の剣を鞘に納める。 するとルナが代わりに俺の前に立ち、セイレーンを阻むように剣を構えた。 これから俺が行う行動は、アルマダ達はおろかレインやリリアさんにもまだ見せていない、正真正銘俺とルナしか知らない攻撃法だ。 「十秒、頼んだ」 「了解」 そう短く言葉を交わすと、ルナは地を蹴りホバリングを続けるセイレーンに突っ込んで行く。 俺はその間にメニューウインドウを操作し、アイテム欄から装備フィギュアを呼び出し右手に設定してある愛剣≪パラティウム・クロス≫を装備解除する。 すると背中に吊られた剣がふっと音も無く鞘ごと消滅する。 そしてそのまま空になった装備フィギュアの右手をクリックすると脇にストレージ内の武器アイテムの一覧が出て来るので俺はそれをスクロールしていき、目的のものが目に止まった瞬間そのアイテム、≪Gungnir≫をクリックし、そのまま右手の欄にドラッグしていきセットする。 セットが完了し、オブジェクト化コマンドを選択した瞬間、俺の背中から肩がけに黒いベルトが回され、体ににずしりという、愛剣よりも大きい荷重を感じ、そのまま倒れないように踏ん張りながらベルトの留め具を外し、背中に手を回すと細身の柄を握る。 「重っ……!」 背中から体の前に持っていき、構えた装備の相変わらずの重さにそんなことを呟きつつもどうにかふらつくこと無く構える。 俺が装備した装備品≪グングニル≫は、新カテゴリのユニーク品、扱いに≪剣槍≫スキルを必要とする、槍型の武器だ。 槍型の武器と言っても、通常の槍とは違い、その穂先が異常なほど長大で、片手剣の刃程の幅と長さを持つ血色の穂先が二メートル程の穂先と同色の柄を持つ、槍にしても巨大すぎる装備だ。 当然、俺の片手剣よりも優先度が高く、しかも両手持ち武器だけあって重量も桁違いだが、俺はステータスも≪武神≫スキルmodのおかげもあってどうにか振り回せるという、大変に使い手を選ぶカテゴリの武器である。
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