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それから白のセーターとオレンジのプリーツスカートというゆったりした私服に着替えたルナに部屋に迎え入れられると、未だに俺の行動の意味が理解できていないらしいルナが小首を傾げていたが、今更蒸し返しても詮無きことなのであえて触れることはせず、ベッドに腰をかける。
「さて、今日はどうする?ここ、無料で軽食も食べられるみたいだけど……ちょっと食べていく?」
「いや、今日はもう落ちようかな」
無料のルームサービス的なものというのはかなり魅力的なものだが、今日はそれを大きく上回る精神的疲労を強いられてしまった。
折角ルナのような美少女に食事に誘われておいてそれを断るというのは世の男性ーー主に我が悪友ーーからしたら何を言っているんだ的なことになるのだろうが、流石に処理落ち寸前の頭で粗相をするわけにもいかないので丁重に断る。
「そっか、確かに今日はライト君、頑張ったもんね。
眠いなら折角だし寝落ちしていったらどうかな?ログアウトみたいな急に意識が途切れたり覚醒したりみたいなことはないから現実でも眠気が飛んだりはしないよ?」
「そうする……おやすみ、ルナ」
「うん、おやすみ、ライト君」
やはり食事を断ったことで一瞬ルナの顔に陰りが出たような気がしたが、すぐにルナは柔らかい微笑を浮かべてそう進めてきたので這うような緩慢な動作でベッドに向かい、ふかふかのベッドに倒れ込む。
するといよいよそこで眠気をせき止めていた意識のダムが決壊したのか、強烈な眠気が首をもたげてきたので目を閉じてそれに身を委ねる。
するとフェードアウトするようにゆっくりと意識が遠のいていき、ついに全身から一瞬感覚が消え失せた。
意識が完全に途絶える直前に頭に何かが触れるような感覚があったような気がしたが、一度猛威を振るい出した眠気には抗えず、俺はあえなく意識を手放した。
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