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2050年6月20日
「へ?シグさんから連絡が?」
「うん、今日の朝に端末のダイレクトチャットチャンネルにメッセージを入れられてたの」
アナザーワールドの大型アップデートから早一週間。
最近すっかり習慣になってしまった四人での昼食の時間に輝宮に告げられた言葉に俺は弁当をつつく手を止めそう聞き返していた。
「シグさんから連絡ってことはアップデート関連だよな……なんだって?」
「えっと……首都の転移塔の上に何か変わったものが出現したって報告だったよ。シグが見た感じだとボタンみたいな機構があったみたいだから何かのコンソールみたいなものかもだって」
「コンソール……確かにそれっぽいと言えばそれっぽいけどよ。なんだってまた転移塔のテッペンなんて普段行かねえとこに出現したんだ?」
輝宮の言葉を聞いた氷雨は、麗奈さんが作ってくれたらしい弁当を食べながらそう問い返す。
「考えられるとすればアップデートの時にゼウスが出てきたところだからだろうけど……そもそも転移塔の頂上に登れる事自体今知ったんだが……」
「そりゃあそうだろうよ。あんな高いだけのとこ行っても面白みなんざねえからな」
「そっか、雷翔君は転移塔には必要な時にしか行かないしね。
一応転移塔の中にある螺旋階段を上がれば屋上にも出られるんだよ。高くて風が気持ちいいんだ」
「屋上は景色がいいので、デートスポットとしては人気なんですよ。女性のプレイヤーの絶対量が少ないので男性プレイヤーにはあまり知られていないみたいですけど」
「な、なるほど……」
三人の説明を聞き、男女間の認識の違いを実感していると、女性二人にやんわりと論破された氷雨が半分涙目になりながら弁当をがっつき始めた。
そんな悪友を横目で見ながら購買で購入した冷たいお茶で喉を潤す。
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