死霊の王

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2050年7月2日 「それじゃ、いいところ人数も揃ったことだし攻略会議を始める」 マザータウンの中央に位置する噴水広場で、数十人のプレイヤーに取り囲まれながら一人の男性プレイヤーが静かにそう口を切る。 キースから協力要請を受けた日から三日が過ぎた本日土曜日、俺とルナは大量のプレイヤー達に紛れ、エリアボス攻略会議に参加していた。 やはり今回のボス戦にも参加するのか、少し離れた場所にはアルマダ達無敵の盾のメンバーと、俺達に協力要請を出したキース達楽園の姿も見てとれる。 だがその人数は前回よりも大分少なく、楽園が十六人の二パーティー、無敵の盾も二パーティー分しかメンバーが出せていない。やはり俺達を入れてもらえる猶予はなさそうだ。 「まずは参加者の確認をする。楽園から二パーティー、無敵の盾から二パーティー、俺達≪剣闘士(スパルタクス)≫から三パーティー、加えて無所属の有志を募る形で編成させてもらう。ここまでで何か質問は?」 「じゃあ俺から一つ」 前に立った≪剣闘士≫なるギルドのマスターであろう人物がこの場にいるメンバーでレイドを編成し始めると、キースが手を挙げる。 「見た所の編成では回復役の人数が足りないようだが、まさかこのままの編成で行くわけはないよな?」 「いいや、この編成で行くのは変わらない。回復役は有志の二パーティーに数人居れば十分だろ」 「何……?」 全身を黒いチェーンメイルに包み、青龍刀と思しき剣闘士ギルドマスターの言葉に、キースだけでなくボス戦をよく知る楽園、無敵の盾陣営からどよめきが上がる。 「そんな……足りる訳ないじゃない……」 そしてそれは俺達も例外ではなく、ルナに至っては目を見開いて絶句してしまっている。 俺は前回のボス戦しか知らないが、前回は回復役だけのパーティーを作った上にルナが回復の総監督を務めてでも回復が追いつかず壊滅寸前まで追い込まれている。 たかだか二パーティーの中に二、三人放り込む程度ではルナの言う通り足りる訳がないのだ。
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