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そろり、と職員室の扉を開ける。今は始業式の最中みたいで、ここまで生徒に会うことはなかった。俺はギクシャクしながら中に入る。
俺の入るクラスは2-3。担任は、結城 新と言う先生だ。
職員室もガランとしていた。ちらほらと先生が居たけれど、入って来た俺を見ると、なぜか皆慌てて目をそらした。
俺、やっぱよく思われてないのかな。新人類じゃないし……。
この学校の先生も、ほぼ新人類だという。
ほんと、アウェイ感半端ないよ…
ちょっと落ち込んだ気分のまま、結城先生の机を探す。壁の見取り図からすると、2列目の左から3番目だな、よし。
そして辿り着いた机を見て、俺は沈黙した。
「……………」
えーっと、これ、どうすればいいの?
結城先生の机には、毛布の塊があった。黒髪で、ボサボサの頭だけがちょこんと出ていて、机に突っ伏すように、
「寝てる………」
廊下が、少し騒がしくなって来た。始業式、終わったのかな。
てか、この先生起きなくていいの?!ホームルームは?!
俺も、結城先生に起きてもらわないと困る。学校に着いたらまず、担任に会うように言われているんだから。
俺は、毛布の上から先生を揺すった。全く起きる様子がない。
勘弁してよ……。
「先生?結城先生?」
今度は、もう少し強めに揺すって、声もかけた。頼むから起きて。
毛布の塊が、もぞっと動いた。ボサボサの頭がゆるゆると動いて、
顔がこっちを向いて、目が開いた。
「…………」
ぼーっと、こちらを見ている。毛布がもぞもぞと動いて、右手が出て来て机の上をまさぐった。右手は黒縁の大きな眼鏡を掴むと、それをゆっくりとかけた。
「…………」
眼鏡の奥の瞳と、バッチリ目があった。
「結城……先生?」
ズササササササッ
途端に、先生が椅子を思いっきり後ろ蹴って俺から離れた。身体にかかっていた毛布が床に落ちて、ドサっと音を立てる。
「……え?」
こんなにあからさまに拒絶されたのが初めてだった俺は、驚きのあまり動けない。
一方先生は、まるで怯えたように瞳をうるうるさせながら、片手で口を覆っていた。
一体、なんだっていうんだよ?
てか、あまりにも失礼すぎないか?
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