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「白川悠希です。よろしくお願いします」
パチパチとまばらな拍手が起きる中、俺はずっと考え込んでいた。
おかしいな、男しかいない。
そう言うクラスなんだろうか。
「じゃあ、白川君は後ろの空いてる席に座ろー。そしたら一旦休み時間ねー」
結城先生に言われて、俺は教室の後ろに行く。視線が痛い。
俺の席は、窓側から2列目の一番後ろだった。窓側の隣は、柔らかい栗色の髪をした、落ち着いた雰囲気の人だ。俺の方をちらっと見て軽く会釈すると、窓の方に視線を戻した。廊下側の隣は………
「ちーっす!俺、優斗。宜しく!」
げ、チャラ男。
廊下側の隣は、金髪で耳にピアスがたくさん空いた人だった。折角の制服も着崩していて、がっつり空いた胸元には、チャラそうなネックレスがついている。
俺は、その出で立ちだけで身構える。隼人も普通よりはちゃらかったとはいえ、髪黒かったし、ピアスなんてなかったし。ここまでのチャラ男とおつきあいしたことは……。
「あ、よ、よろしく」
俺はビクビクしながら答えた。すると、優斗と言う人は俺の背中をバシバシ叩く。
「隣になったのもなんかの縁だしよ、仲良くしよーぜ!」
「う、うん」
俺がなんとかそう返事すると、優斗は意外にもふっ、と優しい笑顔になった。
その表情がなんだか隼人に似ていて、俺はつい呟いてしまった。
「隼人……」
「え?」
「はーい、じゃあホームルーム始めるよー」
その時、再び先生がやってきて、微妙な空気のままホームルームが始まってしまった。
ホームルームでは、簡単な注意事項みたいなのを聞いたりと学級委員を決めたりするのとで終わった。
解散するとすぐ、先生が俺に声をかける。
「白川君、寮の方に案内するね」
俺ははい、と言うと、先生に着いて行った。
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